商社株はなぜ資源高・円安で買われる?三菱商事・三井物産が急騰後に調整した理由を整理

投資の気づき

「商社株って、インフレに強いらしい」。そんな話を見かけて、三菱商事と三井物産を調べてみました。

で、株価を見て「あれ?」となりました。2026年10月2日の終値は、三菱商事が4,694円、三井物産が4,902円。2026年の高値からは三菱商事が-21.9%、三井物産が-26.6%です。

強かったのは前半で、今は調整中。買われる仕組み、急騰から息切れまでの流れ、決算、私の見方の順に整理します。売買のすすめではなく、調べたメモです。


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結論:買われる理由はある。でも「高値で追う理由」にはならないと私は思った

調べて、結論は3点になりました。

1つ目は、資源高や円安が利益を押し上げる道すじは、ちゃんとあること。2つ目は、利益は資源だけで決まらないこと。前期(2026年3月期)の純利益は三菱商事が8,005億円(-15.8%)、三井物産が8,340億円(-7.4%)で、どちらも減益でした。短信では、三井物産は鉄鉱石・原料炭・原油の価格下落、三菱商事は前の年の一時的な利益(ローソン関連の再評価益など)の反動が、主な減益要因に挙がっています。

3つ目は、株価は先に動くもの、と私は見ています。実際、10月2日時点では高値から調整していました。

商社が資源高・円安で買われる仕組み

商社は一般に、トレーディング(モノの売買の仲介)と事業投資の2つの柱で稼ぐと説明されます。事業投資の中に、鉱山やガス田などの資源の権益も含まれます。

資源の市況が上がると、権益から入る利益や配当が増えやすくなります。たとえば銅鉱山に出資している場合、銅価格の上昇は持分利益や配当を押し上げる要因になります。三菱商事の1Q(4〜6月)決算でも、銅の好調と資源関連の投資先からの配当増が挙がっていました。

円安なら、外貨で稼いだ利益の円換算が増えます。三菱商事の短信では、1円の円安で純利益+50億円(年間の試算)。

エネルギーはどうか。LNGは、三菱商事の短信によると、価格が原油にリンクしているものが大宗です。ただ三井物産の1Qは、エネルギー(評価益や米国ガス)も増益要因の一つでしたが、最も増益だったセグメントはイノベーション&コーポレートディベロップメント。CIM Groupのリサイクル益や量子コンピューティング事業のIPOに伴う評価益など、資源以外の要因が大きく効いています。

ここは意外でした。「原油と円安を見ておけばいいのかな」と思う人も多そうですが、三菱商事の油価感応度は1ドル上昇で純利益+24億円。通期予想の1兆1,000億円と並べると、かなり小さい(LNG投資先からの受取配当は算定対象外)。

原油だけで決まるわけじゃない。銅、原料炭、米国のガス、出資先からの利益や配当まで含めた全体で決まる、というのが私の解釈です。「インフレに強い」も定義ではなく、よく聞く説明の一つにとどめて読んでいます。

資源高と円安が商社の利益に届く経路

2026年は急騰して、夏以降に息切れした

三菱商事 三井物産 2025年末(12月30日)の終値は、三菱商事が3,586円、三井物産が4,643円。そこから、三菱商事は6,012円(5月15日)、三井物産は6,675円(4月8日)まで上がりました。

背景として報じられているのは、中東情勢による原油の急騰です。日経ヴェリタス(2026年4月18日)は、三菱商事の上昇理由にカナダLNGや米シェールガスへの大型投資、銅・原料炭の回復を挙げ、割高感にも触れていました。

ただ、その後は調整。三井物産は4,407円(7月1日)まで下げました。三菱商事も、8月3日の決算が好調だったのに「材料出尽くし」と受け止められ、一時売られています。7月の日経平均の動きは別の記事にまとめています。

10月2日の終値を2025年末の終値と比べると、三菱商事が+30.9%、三井物産が+5.6%です。

WTI原油は91.11ドル/バレル(前年比+49.66%、Trading Economics、2026年10月2日)と高いまま。それでも株は高値から下がっています。春に買われ、夏は好決算でも売られた。これが私の言う「株価は先に織り込む」です。

円は、10月3日時点の表示値で157.83円。円安の背景は円安が続く構造、介入後の動きは15兆円介入でも160円にまとめています。

1Qは大幅増益、今期は増益予想。でも前提と株価は別の話

今期(2027年3月期)の純利益の会社予想は、三菱商事が1兆1,000億円(+37.4%)、三井物産が9,200億円(+10.3%)です。1Q(4〜6月)の純利益は、三菱商事が2,985億円(+47.0%)、三井物産が2,941億円(+53.4%)。年間配当の会社予想は三菱商事125円、三井物産140円で、三井物産は自社株買い最大2,000億円も出しています。

三菱商事の会社前提は、1ドル=150円、Brent原油は1バレル=78ドル。10月3日時点の表示値では、ドル円は157.83円、Brentは102.25ドル/バレルです。足元では、会社前提より円安・原油高。ただし、年間平均や業績に反映されるまでの数か月のズレがあるので、そのまま上振れ額にはなりません。上振れ余地があるかもしれない、くらいに見ています。

まとめ:私は短期の原油ニュースでは動かない

私の見方はこうです。

「原油が上がったから商社」という連動では動かない。1ドルあたりの感応度は小さいし、株価は先に動くので。見るのは、会社前提と実勢のズレ、配当や自社株買いが続くか、自分のポートフォリオの中での比重。

「高値から下がったから安い」とも言い切れません。予想配当利回りは三菱商事が2.66%、三井物産が2.86%(会社予想、2026年10月2日)。私が高配当狙いで積極的に買いたくなる水準ではないな、と整理しています。

私の手持ちの商社株には、含み益のものも含み損のものも混ざっています。どちらの気分のときでも、ニュースの勢いで動かないようにしたいですね。円安や金利が気になる方は日銀利上げの仕組み、配当との付き合い方は高配当とインデックス中心の付き合い方を書いた記事も見てみてください。

参考リンク

  • 日経 株価推移(三菱商事) https://www.nikkei.com/nkd/company/history/yprice/?scode=8058
  • 日経 株価推移(三井物産) https://www.nikkei.com/nkd/company/history/yprice/?scode=8031
  • 日経 三菱商事決算 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG274EW0X20C26A4000000/
  • 日経 三井物産決算 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG2787C0X20C26A4000000/
  • 日経 三菱商事 材料出尽くし(2026-08-03) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0335A0T00C26A8000000/
  • 日経ヴェリタス(2026-04-18) https://www.nikkei.com/prime/veritas/article/DGXZQOUC302HL0Q6A330C2000000
  • 三菱商事 1Q短信 https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/earnings/pdf/202608j.pdf
  • 三菱商事 2026年3月期短信 https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/earnings/pdf/202605j.pdf
  • 三菱商事 説明会資料 https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/meetings/pdf/260501/20260501j.pdf
  • 三菱商事 1Q決算説明資料 https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/meetings/pdf/260803/20260803j.pdf
  • 三井物産 1Q短信 https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/library/meeting/pdf/ja_273_1q_ta.pdf
  • 三井物産 2026年3月期短信 https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/library/meeting/pdf/ja_263_4q_ta.pdf
  • Yahoo!ファイナンス(利回り) https://finance.yahoo.co.jp/quote/8058.T / https://finance.yahoo.co.jp/quote/8031.T
  • Yahoo!ファイナンス(ドル円) https://finance.yahoo.co.jp/quote/USDJPY=X
  • Trading Economics(WTI・Brent、二次の集計サイト) https://tradingeconomics.com/commodity/crude-oil
  • 総合商社の一般解説 https://www.kotora.jp/c/59666/

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