2026年8月末、ドル円が再び1ドル160円台まで円安になりました。
少し前には日本政府が大規模な為替介入を行い、いったん円高方向へ大きく動いていました。
ところが、その効果も長くは続かず、再び160円台です。
今回の動きを見ていると、
「為替介入をしても、結局また円安になるの?」
と思った人もいるのではないでしょうか。
背景には、ジャクソンホール会議でのFRB(米連邦準備制度理事会)のウォーシュ議長の発言があります。
今回は、
- FRBの利上げ観測
- ドル円160円
- 過去最大規模となった日本の為替介入
この3つのニュースをまとめて見ていきます。
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FRB議長が利上げの可能性を意識させる発言
8月28日、ジャクソンホールで講演したFRBのウォーシュ議長は、インフレが2%目標に向かって十分に改善しなければ、FRBにはまだ「やるべき仕事がある」との考えを示しました。
最近のインフレ指標には改善も見られますが、それだけでは基調的なインフレが十分に弱くなったとは判断できない、という慎重な姿勢です。
Reutersによると、この発言を受けて市場では9月FOMCでの利上げを予想する動きが強まりました。
ここで重要なのは、
「FRBが9月の利上げを決めた」わけではない
ということです。
ただ、市場から見ると、
「思ったよりFRBは利下げ方向ではない」 「インフレ次第では、むしろ再び利上げする可能性もある」
と受け止められる内容でした。
そのため米国の長期金利が上昇し、株式市場ではハイテク株を中心にやや売りが優勢となりました。
8月28日の米国市場では、S&P500が0.25%安、NASDAQ総合指数が0.52%安となっています。
米金利上昇でドル円は160円台へ
FRBの利上げ観測が強まれば、米国の金利も高止まりしやすくなります。
すると、より高い金利が期待できるドルが買われやすくなります。
その結果、ドル円は一時1ドル160.15円付近までドル高・円安が進みました。
流れとしては非常にシンプルです。
FRBの利上げ観測
↓
米国金利上昇
↓
ドル買い
↓
円安・ドル高
という動きです。
日本株にとって円安は、自動車など海外売上比率の高い輸出企業には追い風になりやすい一方、少し注意も必要です。
今回の円安は米国の金利上昇とセットで起きています。
金利上昇はNASDAQなど成長株の重荷になりやすいため、
「円安だから日本株は全部プラス」
とは限りません。
特に半導体株などは、円安のメリットより米国のハイテク株下落の影響を強く受ける場面もあります(指数は高いのに自分の持ち株が上がらない、という話は別記事でも書きました)。
実は15兆円を超える為替介入をしていた
そしてもう一つ大きなニュースがありました。
財務省は8月28日、7月30日から8月26日までに行った為替介入の金額が、
15兆3,993億円
だったと発表しました。
月次としては過去最大規模です。
日本政府は円を買い、ドルを売ることで急激な円安を止めようとしました。
実際、介入によってドル円は一時大きく円高方向へ動きました。
しかし、その後は再び円安が進み、今回160円台まで戻っています。
15兆円を超える規模の介入をしても、結局また円安になったことになります。
なぜ為替介入をしても円安に戻ったのか
為替介入に意味がなかった、という話ではありません。
介入直後には実際に円高になり、急激な円安を止める効果はありました。
ただし、為替介入そのものが米国の金利を下げたり、日本の金利を上げたりするわけではありません。
今回のように、
米国では利上げの可能性が意識される
一方で、
日本との金利差が依然として大きい
のであれば、時間がたつにつれて再びドルが買われる可能性があります。
為替介入は急激な値動きを抑えることはできますが、それだけで為替の大きな流れを永久に変えられるわけではありません。
今回の160円台への戻りは、そのことがかなり分かりやすく表れた例だと思います(円安がなぜ止まりにくいのか、構造的な背景はこちらに書いています)。
今後は「再介入」にも注意
1ドル160円という水準は、市場参加者にとってもかなり意識されやすいラインです。
しかも日本政府はすでに過去最大規模の為替介入を行っています。
円安がさらに急速に進めば、
「また介入するのでは?」
という警戒も強くなります。
今後は、
- 米国のインフレ指標
- 9月FOMCで本当に利上げするのか
- 日本銀行の金融政策
- ドル円160円を超えた場合の政府の対応
このうち日銀の動きについては、利上げが預金・債券・株にどう効いてくるかを以前まとめた記事があるので、あわせてどうぞ。
あたりが注目されそうです。
今回のニュースをまとめると、
FRBが利上げの可能性を意識させる
↓
米金利上昇
↓
ドル高・円安
↓
ドル円160円
↓
過去最大の為替介入をしても、円安圧力が再び戻った
という流れになります。
15兆円という非常に大きな金額を使って円を買っても、金融政策や金利差という根本的な条件が変わらなければ、再び円安へ戻る可能性があります。
今後のドル円を見るうえでは、為替介入そのものよりも、米国の金利が今後どちらへ向かうのかを見ておくことが重要になりそうです。
参考資料
- Reuters「Will Warsh’s Jackson Hole speech be course correction or detour?」2026年8月28日
- Reuters 米国市場・為替関連報道(2026年8月28日)
- 財務省「外国為替平衡操作の実施状況」2026年8月28日
- 日本経済新聞 為替介入関連報道
※本記事は2026年8月30日時点の公開情報をもとに作成しています。将来の為替・株価の動きを予測または保証するものではありません。

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