※本記事は2026年6月時点の情報をもとにしています。
なぜ今、半導体株が熱いのか?
先日の記事では、日経平均が7万円台に乗った背景として、半導体関連株の上昇を取り上げました。
その中でも特に注目されやすいのが、東京エレクトロンとレーザーテックです。どちらも半導体そのものを作る会社ではありませんが、半導体を作るための装置・検査装置を手がけており、AI需要の拡大とともに投資家から注目されています。
今回は、東京エレクトロンとレーザーテックが「何をしている会社なのか」「なぜ半導体相場で買われやすいのか」「今後どんなリスクに注意すべきか」を初心者向けに整理します。
もし記事が少しでも参考になったら、応援クリックしていただけるとうれしいです。
東京エレクトロン・レーザーテックって、何をしている会社?
東京エレクトロン
東京エレクトロンは、半導体の「製造装置(せいぞうそうち)」を作っているメーカーです。
「製造装置」とは、チップ(半導体)を作るために使う機械のこと。スマートフォンやパソコンに入っているあの小さなチップは、非常に複雑な工程を経て製造されます。その工程で使われる「成膜装置(せいまく:材料を薄く積み重ねる機械)」「コーター/デベロッパー(フォトレジストという光に反応する薬を塗る・現像する機械)」などを世界中の半導体メーカーに販売しています。
世界的な大手半導体メーカーを顧客に持つ、半導体製造装置の大手企業です。台湾のTSMCや韓国のサムスン電子、米国のインテルなども顧客に名を連ねているとみられます。
レーザーテック
レーザーテックは、半導体製造に使う「マスク(型紙のようなもの)」の検査装置を専門に作っている会社です。
半導体を作るとき、回路のパターンを光で焼き付ける工程があります。そのときに使う「型紙(フォトマスク)」に欠陥がないかを検査する機械を製造・販売しています。特に近年注目されているのが、「EUV露光(イーユーブイろうこう)」という最先端技術に対応した検査装置です。
EUV露光とは、極端紫外線(Extreme Ultraviolet)という特殊な光を使って、髪の毛の1万分の1以下という超微細な回路を描く技術のこと。この技術を使えば使うほど、対応した検査装置が必要になり、そこでレーザーテックの装置が求められる、という構図になっています。
レーザーテックは、EUVマスク関連の検査装置で世界的にも存在感が大きく、2019年にはEUV光を使ったアクティニックEUVパターンマスク欠陥検査装置を世界で初めて開発・販売したと説明されています。この分野では代替の効きにくい「ニッチトップ企業」として評価されています。
なぜ今強いのか?3つの理由
理由①:AI需要の拡大と、半導体製造装置への波及
ここ数年でAI(人工知能)の利用が急速に広がっています。ChatGPTをはじめとするAIサービスは、膨大な計算処理を行うために大量の半導体チップを必要とします。
AI向けの高性能チップを大量に作るには、より多くの製造装置と、より精密な検査装置が必要です。つまり、「AIが普及する→チップの需要が増える→製造装置・検査装置を作る会社の注文も増える」という流れが起きているとみられます。
この恩恵を受けやすい立場にあるのが、東京エレクトロンやレーザーテックのような「川上(かわかみ)」の企業——つまり、チップそのものではなく、チップを作るための設備を提供している会社です。
AI需要は一時的なブームではなく、クラウドサービス・自動運転・医療・製造業など幅広い分野で長期的に続く可能性があるとみられており、こうした企業への注目が高まっています。
理由②:米国半導体株(エヌビディア等)との連動メカニズム
株式市場では、「セクター(sector)」という考え方があります。セクターとは、同じ業界や事業領域に属する企業群のことで、同じセクターに属する株は似た値動きをしやすい特徴があります。
半導体セクターでは、米国のエヌビディア(NVIDIA)が世界的に大きな注目を集めています。エヌビディアはAI向けの高性能GPU(グラフィック処理チップ)で大きなシェアを持つ企業で、その株価は世界の投資家が注目する「半導体株の体温計」のような役割を果たしているとも言われます。
エヌビディアの株価が上昇すると、「半導体への期待が高まっている」というシグナルとして受け取られ、日本の半導体関連株にも買いが入りやすくなる傾向があるとみられます。東京エレクトロンやレーザーテックも、こうした米国株との連動(相関)の中で動くことが多いとされています。
ただし、連動はあくまで傾向であり、個別の企業業績や為替(円安・円高)の影響も受けます。米国株が上がっても日本株が上がらない日も当然あります。
理由③:日経平均への影響度が大きく、相場全体の主役になりやすい
東京エレクトロンのような値がさの半導体関連株は、日経平均への影響も大きくなりやすい銘柄です。また、レーザーテックのような半導体関連株も、同じテーマとして物色されやすく、相場全体のムードに影響を受けやすい面があります。
そのため、個別企業の業績だけでなく、「日経平均を押し上げる主力株」として資金が集まりやすい面もあります。
今後の注目ポイント:期待とリスクの両面
期待できる面
- AI・データセンター投資の継続:クラウド大手各社は今後も大規模なデータセンター投資を計画しているとみられ、高性能チップの需要が続く可能性があります。
- EUV世代への移行加速:より微細で高性能なチップへの移行が進むほど、対応した製造装置・検査装置の需要が高まるとみられます。
- 国内半導体産業の育成:日本政府は2026年4月にラピダス(国内半導体新会社)への追加支援を決め、研究開発支援の総額は2兆3540億円に達すると報じられています。国内需要の底上げ効果も期待されています。
注意しておきたいリスク
- 地政学リスク(ちせいがくりすく):米中の半導体をめぐる対立が続いており、輸出規制の強化など予期せぬ政策変更が業績に影響を与える可能性があります。
- 業績の波(シリコンサイクル):半導体業界は需要の増減が激しい「シリコンサイクル」と呼ばれる景気循環があります。設備投資が過剰になった局面では、装置メーカーへの発注が急減するリスクもあります。
- 株価の割高感:注目度が高まると株価が先行して上昇し、実際の業績に対して「割高(PER=株価収益率が高い状態)」になることがあります。高値掴みには注意が必要です。
初心者向けまとめ:個別銘柄を見るときの基本視点
半導体関連株を調べるとき、以下の3点を意識してみると整理しやすいとみられます。
① その会社が「何を」作っているかを確認する チップ自体を作る会社(TSMC・サムスン等)と、チップを作る装置を提供する会社(東エレク・レーザーテック等)では、リスクの性質が異なります。どのポジションにいるかを把握することが第一歩です。
② 顧客・納入先を確認する 主要顧客が特定の1社に偏っていると、その顧客の業況に大きく左右されます。顧客が分散しているほど、一定のリスク軽減になるとみられます。
③ 業績の方向性を決算で確認する 直近の決算発表で「売上・利益が増えているか」「来期の予想はどうか」をチェックするのが基本です。株価は将来への期待で動くため、予想の上方修正・下方修正にも注目が集まります。
「なんとなく話題だから」ではなく、「なぜこの会社なのか」を少し掘り下げるだけで、投資の判断軸が変わってきます。
まとめ
東京エレクトロンとレーザーテックは、AIと半導体というこれからの時代を象徴するテーマにど真ん中で関わる企業として、多くの投資家の注目を集めています。
とはいえ、どんなに有望に見える銘柄でも、株価は将来の不確実性を含んでいます。「面白そう」と感じたなら、まずは少額で体験しながら学ぶ姿勢が、長く投資と付き合っていくコツかもしれません。
ここで紹介した内容はあくまで入門的な整理です。実際の投資判断は、最新の決算情報や専門家の分析、ご自身のリスク許容度を踏まえてご検討ください。
参考になる情報源
- 東京エレクトロン 公式IR(投資家向け情報) — https://www.tel.co.jp/ir/
- 東京エレクトロン 製品情報 — https://www.tel.co.jp/product/
- レーザーテック 公式IR — https://www.lasertec.co.jp/ir/
- レーザーテック「世界初の製品」 — https://www.lasertec.co.jp/ir/individuals/creation.html
- 日本取引所グループ(JPX)銘柄情報 — https://www.jpx.co.jp/
- EDINET(金融庁 有価証券報告書データベース) — https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/
- モーニングスター 株式情報 — https://www.morningstar.co.jp/
- 日経電子版 半導体関連ニュース — https://www.nikkei.com/
- Reuters「Japan approves additional $4 bln for chipmaker Rapidus」 — https://www.reuters.com/world/asia-pacific/japan-approves-additional-4-bln-chipmaker-rapidus-2026-04-11/
本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任のもとで行ってください。

コメント