「563A」というETFが2026年4月23日に東証に上場して、SNSでちょこちょこ見かけるようになりました。「利回り15%って書いてあるけど、本当に?」「カバード・コールって何?」という疑問を持った人も多いんじゃないかと思います。
この記事では、563Aがどんな仕組みで動くETFなのかを、なるべくわかりやすく整理してみました。
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まず基本情報から
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF |
| 東証コード | 563A |
| 略称 | GXナスDカバコ |
| 運用会社 | Global X Japan |
| 上場日 | 2026年4月23日 |
| 信託報酬(実質) | 年率 約0.2775%(税込) |
| 分配頻度 | 毎月(毎月10日決算)※初回決算日:2026年7月10日 |
| 運用目標 | 年率15%程度のオプション・プレミアム獲得を目指す(分配利回り15%を保証するものではありません) |
| NISA | 対象外 |
信託報酬が0.2775%というのは、テーマ型ETFとしてはかなり低い水準です。ここは素直にいいところだと思います。
「カバード・コール」ってどういう仕組み?
名前が難しそうに見えますが、やってることはシンプルです。
株を持ちながら、その株に対して「コールオプション(買う権利)」を売る、というのがカバード・コール戦略です。オプションを売ることで「プレミアム」と呼ばれる手数料収入が入ってきます。これが分配金の主な原資になっています。
イメージとしては、自分が持っている株を「一定価格になったら売ってもいいよ」という条件付きで貸し出して、その対価をもらうような感覚です。
ただし、大きな上昇相場になると株の値上がり分を取りこぼすという構造になっています。オプションを売っているため、株価が急騰しても一定以上の利益はオプション買い手に渡ってしまうからです。
「デイリー」というのが563Aのポイント
カバード・コール戦略のETFは、563Aより前にも「2865(グローバルX NASDAQ100・カバード・コールETF)」という先輩ETFが存在しています。
563Aが違うのは**「デイリー(毎日)」**オプションを使っている点です。
- 2865:月次型に近いカバード・コール戦略
- 563A:毎営業日、翌日期限のオプション(1DTE)を新たに組み直す
毎日組み直す分、相場の急変に合わせてポジションを調整しやすくなります。また、1DTE(翌日満期)のオプションは時間的価値が落ちるのが早いため、理論上はプレミアム収入を効率的に積み上げやすい面があります。日本国内では初めての試みとのことで、それが「デイリー」という名前につながっています。
利回り15%の中身
「年率15%の利回り」と聞くと、株の配当がそれだけ出るのかと思いがちですが、そうではありません。
分配金の主な原資はオプション・プレミアム収入です。株式の値上がり益を一部犠牲にして、その代わりに現金収入として受け取る、という構造です。
つまり、15%というのは「タコ足配当でないか?」という視点で見ることが大切です。プレミアム収入で分配金を出せている限りは問題ないですが、相場が大きく動いて収入が不安定になれば分配金も変動します。保証された15%ではない、というのは頭に入れておきたいところです。
また、563Aは韓国取引所に上場する韓国籍投資信託「TIGER US NASDAQ100 Target Daily Covered Call」の受益証券に投資する構造になっています。直接NASDAQ100指数に投資しているわけではなく、間に韓国のETFが挟まっている形です。このあたりの透明性をどう評価するかは、人によって感じ方が分かれるかもしれません。
NISAで買えないのは痛い
563AはNISA対象外です。
公式FAQでは、カバード・コールETFはヘッジ目的以外でデリバティブ取引を活用しているためNISA対象外と説明されています。毎月分配の有無に関係なく、この構造である限りNISA対象にはならないとのことです。特定口座で保有する場合、分配金には約20.315%の税金がかかります。
単純に国内課税(約20.315%)を差し引くと、15%は税引後で約12%前後になります。ただし、実際の受取額は分配金額や二重課税調整などによって変わるため、あくまで目安です。それでも高いといえば高いですが、NISAで運用できるNASDAQ100インデックスファンドとの比較では少し条件が変わってきます。
563Aの税金、実際どうなる?手取り計算と二重課税の話
「563a 税金」で検索してこの記事に来た人向けに、もう少し具体的に整理してみます。
毎月いくら手元に残るか、数字で見てみる
目標年率15%の分配というのが実際の手取りでどうなるか、 10万円を投資したケースで試算してみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 投資元本 | 100,000円 |
| 年間分配金(目標15%) | 15,000円 |
| 月あたり分配金(目安) | 約1,250円 |
| 税引後(20.315%控除後) | 約996円/月 |
| 年間手取り合計(目安) | 約11,960円 |
つまり「年率15%」と書いてあっても、 税引後の手取りは実質約12%前後が目安になります。
ただしこれは二重課税調整が適用される前の数字です。 次の項で説明しますが、調整が入るとここから少し増える可能性があります。
二重課税調整は自動でされる(確定申告が不要)
563Aは東証に上場する国内ETFなので、 二重課税調整(外国税額控除)が証券会社によって自動適用されます。
これ、JEPQとの大きな違いです。
米国ETFのJEPQを特定口座で持つ場合、 米国側で約10%の税金が引かれていても、 それを取り戻すには自分で確定申告する必要があります。
563Aの場合は証券会社が自動で処理してくれるので、 確定申告なしで二重課税分が調整される、という仕組みです。
ただしひとつ注意点があります。
563Aの分配金の主な原資はオプションプレミアム(株の配当ではない)なので、 どの程度の二重課税調整が実際に適用されるかは、 初回決算日(2026年7月10日)の情報が出るまで正確にはわかりません。
Global X Japan公式FAQでも 「外国税額控除(二重課税調整)の適用を受けるには条件がございます」 と書かれており、調整の規模は決算ごとに変わる可能性があります。
要は「自動調整あり、ただし金額は毎回変わる」という理解が正直なところだと思います。
NISAで買えるNASDAQ100インデックスと比べると?
563Aと、NISAで非課税運用できるNASDAQ100インデックスファンドを 同じ10万円で比べると、こういう構造の違いがあります。
| 563A(特定口座) | NASDAQ100インデックス(NISA) | |
|---|---|---|
| 期待収益の源泉 | オプションプレミアム(毎月分配) | 指数の値上がり |
| 税金 | 分配金に約20.315%(二重課税調整あり) | 非課税 |
| 上昇相場での取り込み | 約90%(カバー率10%前後) | 100% |
| 下落相場での緩衝 | 分配金分だけ少し和らぐ | なし |
| 確定申告 | 不要(自動調整) | 不要 |
大きな上昇相場が続くなら、NISAのインデックスのほうが 税金ゼロ+値上がりをフルに享受できるので有利です。
563Aが輝くのは、「値上がりよりも毎月の手取り収入がほしい」という場面。 たとえばNISA枠をすでに埋めている特定口座での運用や、 配当収入で毎月のキャッシュフローを作りたいケースです。
どちらが正解というより、目的が違う商品と考えるのがしっくりきます。
2865と何が違うの?
よく比較されるのが、同じGlobal X Japanが運用する2865(グローバルX NASDAQ100・カバード・コールETF)です。
| 563A | 2865 | |
|---|---|---|
| オプション | デイリー(1DTE) | 月次型に近いカバード・コール |
| 目標利回り | 年率15%程度を目標 | 実績ベースで変動 |
| 実質コスト | 約0.2775% | 約0.6275% |
| 上場日 | 2026年4月23日 | 2022年9月30日 |
分配利回りは563Aのほうが高く、信託報酬も低い設定になっています。「じゃあ563Aのほうが圧倒的にいい?」と思うかもしれませんが、デイリーオプションは毎日組み替えが発生するぶん、相場が荒れた局面での挙動がどうなるかはまだ実績が少なく未知数な部分があります。2865は2022年上場で3年以上の実績があるのに対し、563Aは2026年4月が初日です。
新しいETFにはどうしても「様子見期間」があります。
どんな人に向いている?向いていない?
こういう人には合いそう
- 毎月のキャッシュフローを増やしたい
- NASDAQ100に投資しつつ、配当収入も欲しい
- NISAとは別口で特定口座の高利回り枠を作りたい
こういう人には合わないかも
- 長期の値上がり益を最大限狙いたい
- NISAで非課税運用したい
- まだ実績が少ないETFは様子見したい
563Aは「分配金をたくさん受け取るETF」ではありますが、「NASDAQ100そのものより必ず儲かるETF」ではありません。分配金だけでなく、基準価額の動きも含めたトータルリターンで見ることが大切です。
正直なところ、「毎月分配+高利回り」のETFは使い方次第で魅力的にもなるし、気をつけないと手数料や税金でじわじわ削られる面もあります。目的を明確にしたうえで、ポートフォリオのどのポジションに置くかを意識して使うのがよさそうです。
まとめ
563Aは、日本初の「デイリー・カバード・コール」ETFとして2026年4月に登場した新顔です。目標年率15%の分配利回りと低信託報酬という数字は確かに目を引くものがあります。
ただ、上場したばかりで実績はこれから積み上がっていく段階ですし、NISA対象外、ファンド・オブ・ファンズ構造など、把握しておきたい点もいくつかあります。
「面白そう」と思ったら少額から試してみて、分配金がどのくらい安定するかを自分の目で見ていくのが、一番納得感のある使い方じゃないかと思います。
※本記事は特定のETFの購入を推奨するものではなく、商品の仕組みや注意点を整理したものです。投資判断は、ご自身の資産状況やリスク許容度に合わせて行ってください。
参考


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