SHLD(防衛テックETF)とは?地政学リスク時代の注目テーマとメリット・リスクを徹底解説

投資の気づき

基本情報

項目 内容
正式名称 Global X Defense Tech ETF
ティッカー SHLD
運用会社 Global X ETFs(Mirae Asset Global Investments)
上場取引所 NYSE Arca
設定日 2023年9月11日
経費率 0.50%
純資産総額 約$7.2B(2026年2月時点)
配当利回り 約0.47%(半年払い)
組み入れ銘柄数 52銘柄
ベンチマーク Global X Defense Tech Index

概要

SHLDは、防衛テクノロジー分野の企業に特化して投資するETFです。サイバーセキュリティ、AI・ビッグデータの防衛応用、ドローンや衛星など先進軍事システムといった「次世代の防衛」を担う企業群への投資が一括で行えます。

2023年9月に上場した比較的新しいETFながら、地政学リスクの高まりを背景に設定から約2年弱で純資産が$7B超まで急成長しています。

単なる「軍需産業」ではなく、防衛×テクノロジーの交差点に位置する企業を対象としている点が特徴です。インデックスのルールとして、収益の50%以上を防衛関連から得ている企業のみを対象にしており、純粋な防衛テック企業への投資が可能です。


主要組み入れ銘柄(2026年2月時点)

銘柄 比率
Lockheed Martin アメリカ 9.47%
RTX Corporation アメリカ 7.94%
General Dynamics アメリカ 7.02%
Rheinmetall AG ドイツ 6.99%
Palantir Technologies アメリカ 5.44%
Northrop Grumman アメリカ 4.94%
L3Harris Technologies アメリカ 4.78%
BAE Systems イギリス 4.66%
Leonardo S.p.A. イタリア 4.26%
Thales S.A. フランス 4.24%

出典:stockanalysis.com / SHLD Holdings(2026年2月時点)

アメリカ企業が中心ですが、ドイツのRheinmetall・イギリスのBAE Systems・イタリアのLeonardo・フランスのThalesなど欧州の主要防衛企業にも幅広く分散投資されています。上位10銘柄だけで約60%を占める集中度の高い構成です。


なぜ今、防衛テックが注目されるのか

地政学リスクの長期化

ロシア・ウクライナ戦争を契機に、NATOをはじめとする各国がGDP比での防衛予算引き上げを相次いで表明しています。インド太平洋地域の緊張も加わり、「防衛費増強」は一時的なブームではなく、構造的・長期的な政策転換として進行しています。

防衛のデジタル化・テクノロジー化

現代の戦争はミサイルや戦車だけでは戦えません。AI分析、ドローン制御、衛星通信、サイバー防衛といったデジタル技術が戦場の主役になりつつあります。防衛予算の使い道が従来の重装備から、ソフトウェアやデータインフラへ急速にシフトしています。

  • AI・ビッグデータ:戦況分析・意思決定支援・自律型兵器
  • ドローン・ロボティクス:無人偵察・攻撃システム
  • サイバーセキュリティ:政府・インフラへのサイバー攻撃防衛
  • 衛星・宇宙:通信・偵察・ミサイル追跡

サイバー脅威の深刻化

国家間サイバー攻撃は年々高度化・頻繁化しています。電力網・金融システム・選挙インフラへの攻撃が現実の脅威となり、政府によるサイバー防衛投資は景気に左右されにくい必須予算として拡大しています。


メリット

1. 景気サイクルに左右されにくい防衛需要

防衛予算は政府によって策定され、景気後退期でも削減されにくい特性があります。民間企業向けの通常のIT投資とは異なり、国家安全保障という絶対的なニーズに支えられた安定した需要です。

2. 長期的な増加トレンドが続く防衛支出

NATOのGDP比2%目標、各国の防衛費増強は短期で終わらない構造的な流れです。ウクライナ紛争後に欧州各国が防衛予算を大幅増額しており、Rheinmetall(ドイツ)やBAE Systems(英国)のような欧州企業の成長も取り込めます。

3. AI・テック企業も組み入れ

Palantir Technologies(5.44%)のように、防衛×AIの最前線にいる企業も含まれています。純粋な防衛産業株だけでなく、テクノロジー企業としての側面も持つ銘柄への投資が可能です。

4. 国際分散投資が可能

アメリカ企業だけでなく、欧州の防衛大手(Rheinmetall・BAE Systems・Leonardo・Thales)にも分散されています。欧州の防衛増強の恩恵を1本のETFで受けられるのは大きな利点です。

5. 経費率が比較的低い

0.50%の経費率はテーマ型ETFとしては標準的な水準です。同様のテーマETFと比較しても競争力のある水準に設定されています。

6. 急速に拡大する純資産

設定から約2年弱で$7B超まで成長したことは、機関投資家を含む幅広い投資家から支持されている証拠と言えます。流動性も確保されており、売買しやすい環境が整っています。


デメリット・リスク

1. 平和的解決によるリスク

逆説的ですが、地政学的緊張が緩和・解消された場合、防衛予算の縮小圧力がかかり株価が大きく下落するリスクがあります。防衛テーマへの集中投資ゆえに、地政学情勢に株価が大きく左右されます。

2. 倫理・ESG投資との相性が悪い

防衛・兵器関連企業への投資は、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点から除外されることが多い分野です。ESGを重視するポートフォリオとの組み合わせには矛盾が生じる場合があります。

3. 配当利回りが低い

約0.47%の配当利回りは、インカム投資には適しません。配当収入を目的とする投資家には向かず、キャピタルゲイン狙いの位置づけになります。

4. 米国防衛企業への集中

上位保有がLockheed Martin・RTX・General Dynamicsなど米国の防衛大手に偏っており、米国防衛政策の変更(予算削減・政権交代など)の影響を大きく受ける可能性があります。

5. 設定が新しく実績が限られる

2023年設定と歴史が浅く、景気後退や大規模な地政学的変化を経験していません。長期的なパフォーマンスの実績がまだ十分に積み上がっていない点はリスク要因です。

6. バリュエーションの高さ

防衛テックブームを受けて(2026年2月時点で)PERは36倍台と高水準です。防衛需要の成長期待を多分に織り込んだ水準であり、期待を下回る局面では大幅な調整が起こりうる点に注意が必要です。


ポートフォリオにおける適切な比率

基本的な考え方

SHLDは防衛・地政学リスクというテーマに特化したサテライト投資向けのETFです。メインのポートフォリオを補完する役割として、少額から組み込むのが基本的な考え方です。

目安:ポートフォリオ全体の 3〜10%

リスク別の目安

リスク許容度 配分目安 想定する人
保守的 0〜3% ESGを重視する / 倫理的懸念がある / 値動きが苦手
標準的 3〜7% 地政学リスクへのヘッジとして一部保有したい
積極的 7〜10% 防衛支出拡大トレンドを強く信じている / 他資産と分散済み

10%を超える集中投資は、地政学情勢の急変やバリュエーション調整の際にポートフォリオ全体に大きく影響するため推奨しません。

ポートフォリオ構成の例

【標準的な例(SHLD 5%)】

コア(80%)
  ├─ 全世界株インデックス(VT / eMAXIS Slim全世界)    50%
  └─ 債券・現金・その他                               30%

サテライト(20%)
  ├─ SHLD(防衛テック)                                 5%
  ├─ その他テーマETF(AI、銅等)                       10%
  └─ 個別株など                                        5%

注意点

  • 既にVTや全世界株を持っている場合、Lockheed MartinやRTXなどは一部重複している可能性があります。重複を考慮して配分を調整しましょう
  • NISAで保有する場合、成長投資枠(年240万円)の対象です。テーマ型ETFのため値動きが大きく、一括購入より数回に分けた購入でリスクを平均化するのが賢明です
  • 地政学情勢の変化に敏感:停戦・和平交渉のニュースでは急落することもあるため、定期的な見直しが必要です

まとめ

SHLDは、地政学リスクの長期化・防衛のデジタル化という時代の流れを背景に、急速に注目を集めている防衛テックETFです。Lockheed MartinやRheinmetallといった伝統的な防衛大手に加え、PalantirのようなAI企業まで幅広く組み込んでおり、「防衛×テクノロジー」という新しい投資テーマにまとめてアクセスできます。

一方で、配当は低く・バリュエーションは高く・テーマへの集中度が高いため、あくまでサテライト的な位置づけが適しています。倫理面でのESGとの相性も考慮が必要です。

「すでにQQQやVTは持っているが、地政学リスクへのヘッジを加えたい」「防衛・安全保障の長期トレンドを信じている」という人にとって、SHLDはまだ認知度が上がりきっていないタイミングを捉えやすい選択肢のひとつかもしれません。


参考


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